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生演奏を求め野山に駆出そう〜2005年

 

日本におけるジャズの音楽マーケット

日本の音楽マーケット(CD販売枚数や売上高等)でジャンル別割合について詳細なデータは把握していないが、ジャズやクラッシックはロックやJ-POPと比較するとマーケットの規模が小さいと思われる。 これは日本ならではの傾向。ニュー・オリンズで毎年開催されているジャズ・アンド・ヘリテージ・フェスティバル(注1)は名の通りジャズが モティーフになっている。ジャズ発祥の地ニューオリンズ〜アメリカでは当然と言えば当然だが、ジャズは絶大な人気がある。 2005年の野外音楽・フェスティバル動向をみると2004年開催されたマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルやジャズ・トゥディは 残念ながら開催されない。 一方ロック系の野外音楽フェスティバルは苗場(フジ・ロック・フェスティバル)等で開催され元気が良い。ジャズ系では東京JAZZが今年も開催されるが、場所は東京ビッグ・サイト、野外でなくホール開催となった。

ジャズは敷居が高い!?

一般的に日本でジャズと言うと少し敷居が高いように見受けられる。昔にこの傾向が強かった。 私が初めてニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾に行ったのは10回目〜1991年(バドワイザー最後の年)であり、以前は友人からの誘いを断っていた。 当時はジャズに対する理解が低く、FM放送(注2)やジャズ喫茶での「ジャズは他の音楽と比較し違う〜」との論調が好きになれなかった。一方中には大学のジャズ研に所属しサックスを吹き就職せずにアメリカの音楽学院に進学した人間もいた。 以降、メンフィス経由でニュー・オリンズに行きプリザベーション・ホールでデキシー・ランド・ジャズを体感した事(1994年)、前出のジャズ・アンド・ヘリテージ・フェスティバル(1997年〜1999年)でジャズを聴いた事などによりジャズに対する理解が深まったと感じている。

ジャズに若者興味

2005年の音楽マーケット・トレンドを見ると「ジャズに若者興味」とある(下記参照)。初心者をターゲットにしたジャズ等のオリジナルCD の製作及び販売により、音楽ソースも多様化し敷居が低くなっているのかもしれない。音楽ソースが豊富になる事は とても喜ばしいが音楽は生演奏が一番。何より演奏のグルーブ感が直接伝わってくるしミュージシャンとオーディエンスとのコール・アンド・レスポンス(call and responce)はCD音源では絶対にありえない生演奏ならではの楽しみ方。 特に夏場は野外が最高。野外の生演奏でジャズを確かめる事をお勧めしたい。デジタル機器を手放し生演奏を求め野山に駆出そう!

(注1) ジャズ・アンド・ヘリテージ・フェスティバル
毎年ニューオリンズで開催される音楽(ジャズ)とルイジアナ文化を祝福する事を目的とした一大イベント。 2005年で36回目をむかえた。ジャズ、ゴスペル、ケイジャン、ザディゴ、ブルース、R&B、ロック、ファンク、アフリカ、 ラテン、カリビィアン、フォーク、 とありとあらゆる音楽が各ステージで同時進行する。 ジャズと言ってもモダン・ジャズ系(WWOZ JAZZ TENT)や ご当地デキシー・ランド・ジャズ(JAZZ AND HERITAGE STAGE)、それぞれのステージがある。 R&Bのステージでは強烈なグルーブ感で本物のR&Bを体感する事ができる。ゴスペル・テントでは芯が太く地域に根付いたゴスペルがある。 ニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾でもお馴染みジョージ・ウェイン氏もプロデューサーとしてクレジットされている。2005年は2001年のニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾で強烈なグルーブ感バリバリの演奏でオーディエンスを魅了したカール・デンソン(Karl Denson Tiny Universe)がアキュラ・ステージ (ACURA STAGE)に登場した。また大御所BB・キングもステージに立った。

(注2)FM放送
当時はFM放送の番組をエアー・チェックする事も貴重な音源であった。エアー・チェックとはFM放送を録音する事。番組のスポンサーが後日、きちんと契約通りにCMが放送されたかを確認(チェック)する事がその語源になっているようだ。 マウント・フジ等のジャズ・フェスティバルはFMで当時FMで放送されていた。今では考えられない。 FM放送全盛でありアナログ音源時代だ。比較し今のFM放送はアメリカ・スタイルが主流。FM放送のプログラムを録音し音楽を楽しむ事はほとんど無いと思われる。当時出版されていた各FM誌は休刊され(週刊FM(1991年3月)、FMレコパル(1995年)、FM SATAION(1998年3月)、FM Fan(2001年12月10日))、音楽配信サービスによるデジタル音源時代である。 (2010年8月4日TK)


音楽CD販売復調〜大手レコード店3〜4割増(2005年6月)
待ってました!旧譜の低価格
大人がまとめ買い、ジャズに若者興味

日本レコード協会によると6月のオーディオレコード生産実績は金額では前年同月比33%増の341億円と、2002年9月以降の 高い伸びとなった。数量も35%増えた。カルチャ・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「TSUTAYA」のCD売上は6ヵ月ぶりに プラスに転じて同32%増。HMV(東京・港区)も同40%増だった。ケツメイシやDeftech、ゆず、小田和正などの新作がそろったほかに 、クラッシックやジャズなどの名盤、1960年〜1970年代の邦楽ベスト盤が意外なヒットとなっている。単価を低く抑えた商品が 多く、タワーレコード渋谷店では「懐かしんでまとめ買いする中高年層の「大人買い」や、ジャズ初心者という10〜20代の 若者の姿が増えた」という。東芝EMIは「ブルーノート決定盤」の1年間の出荷枚数が6月末で100万枚突破。1枚1500円でえ120タイトルをそろえた。 当初は40歳以上が購入者の7割を占めたが、最近は20歳代以下が4割と手ごろな価格を呼び水に新たな購入層に浸透し始めた。(以下中略)
7月もタワーレコードや新星堂などCD売上は総じて堅調。CCCがレコード会社と組んで9月に中高年層や初心者を狙った ジャズや歌謡曲などのオリジナルCDの製作、発売を予定するなど企画に力を入れる。(日本経済新聞2005年7月16日)

 

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